観劇日時/11.10.5. 20:00〜22:40 劇団名/シアター・ラグ・203 公演回数/水曜劇場V21 299 作・演出/村松幹男 音楽/今井大蛇丸 音響オペ/吉田志帆 照明オペ/瀬戸睦代 宣伝美術/久保田さゆり 劇場名/札幌市・豊平区・澄川 ラグリグラ劇場
村松戯曲の二面性の一方の特徴を遺憾なく表現した秀作であろう。 村松戯曲の一つは、現代社会の悲劇的末路を象徴させる物語であり、別の 一面は一種のハッピーエンドを予感させる物語の作者でもある。人間のあり 様にはその二つの面があるという表現であろう。 この物語は「乾杯〜それぞれの想い〜」に連なる女3人の混沌と希望の交 錯する物語でもあった。 今回は3人の女優(=斉藤わこ・久保田さゆり・湯澤美寿々)をすべて入 れ替えた返り初日であったから少ならず心配した。それは前回までの舞台が かなり完成していたからなのだが、今日の舞台を観て同じ戯曲なのに何だか 違う芝居を観ているような不思議な感覚に襲われた。 最初はただ面白く初見のようにアハハと観ていたのだが、その人物のハマ り具合は全く違和感がないのに、終演後に気がついて却って驚いたのだ。 本来楽観的な人が、苦境に陥ったとき、全く悲劇人物に180度転換する人 物創造の面白さは、現実にもいっぱいあるのだろう。 そこへ手を入れて有る得べき実状を描いた舞台に大きなエールを贈りたい。 なお男は前回通り平井伸之であり、見回すと、男優が居ないのだ。