演 目
動 機
観劇日時/07.11.24
劇団名/風蝕異人街
公演回数/10周年記念公演 第4弾
作/ギィ・フォワシイ 
構成・演出・照明・音響/こしばきこう
舞台監督・照明操作/石山貴章 音楽/Abt
音響プラン/MIKI 音響操作/瀬戸よしこ
宣伝美術/MIKI スタッフ/山影敏枝・ヤマモトユイ
製作/実験演劇集団「風蝕異人街」
劇場/アトリエ阿呆船(雑居ビルの中の1室)

様式化の躓き

 セレブな夫人(=岩渕安希子)が、夫に対する不満から完全犯罪を企む。若い美人(=梶浦美幸)を誘拐して裸にし、夫のベッドに追い込み、不倫を目撃して射殺するというシナリオだ。
夫人が若い女を誘拐して脅迫する動機が分らないために、1時間の全編がサスペンスになる。これは実際にはリアリティのある実録と言ってもいい。宣伝パンフにも「サスペンスドラマ」と銘記している。
だが同じフオァシイの『相寄る魂』もそうだけど、一見、リアリズムのように見えて一筋縄ではいかない変な捻れがあって、リアリズムでは表現できないような部分を感じざるを得ないのだ。
そこを意識したのか、とても様式的な造りになっていて、それが逆に基本的なリアリティに欠け、話が完全に浮いてしまった絵空事になってしまった。
様式化という表現は難しい。下手にやるととんでもない不思議なものが出来上がる。今回はまさにそういう面が突出してしまったのだろう。
「風蝕異人街」は、様々な試行錯誤を行い、得意の舞踏的表現に留まらない姿勢に大きな共感を持つのだが、今日は失敗作であった。同じ作品を来週は出演者を替えて上演される。それを楽しみにしよう。
細かいことだけど、大事なきっかけとなる電話のベルの音が、置いてある電話とはずいぶん離れたところから聞こえる。音響効果のスピーカーの位置が悪いのだろう。ひどく違和感があり、入り込めない一因を作っているようだ。